【老年化指数】社会の成長フェーズを知る最適グラフとは?

老年化指数推移を知るグラフの視点
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社会の老齢化を見る指標として、老年化指数があります。但し、この指数の絶対値としては、老年化指数100、即ち老年人口が年少人口と同人数である数値が、イメージできる最初の数値でしょう。

(老年化指数)=(老年人口)/(年少人口)×100

その社会が、若い社会なのか、老いていく社会なのかを知るグラフを考えてみたいと思います。
社会の年齢構成がどう変化していくかを知る上では、その他の年齢構成指数との関係を、過去から未来へのトレンドとして捉えてみることが必要になります。

年齢構成指数には、年少人口指数、老年人口指数、従属人口指数、そして老年化指数の4つがあります。それ以外では、総人口の中の年齢区分ごとの構成比が、指数といえるでしょう。

老年化指数推移・日本の過去と未来<1920~2120年>

このグラフは、1920年から2120年までの老年化指数の過去から未来へのトレンドを表しています。
現時点はこのグラフのちょうど中間、老齢化指数262になります。
このグラフでは、老年化指数が最初はゆっくり増加、中間が急増し、最後に再びゆっくりした変化が読み取れますが、この老年化指数推移グラフだけでは、社会の構造がわかりにくいといえます。

老年化指数推移グラフ
5年毎の老年化指数推移を示しています

次に、この老年化指数と、ほかの年齢構成指数との関係グラフで、どんなことを知ることができるか見てみましょう。

【速読解Biz】

年齢構造指数との関係を知るための4つのグラフ

年齢構造指数として、老年人口指数、年少人口指数、年少人口指数、従属人口指数の3つの指標があります。
ここに示す(図1)から(図3)までの3つのグラフは、それぞれこの3つの指標と老年化指数の関係を示したグラフです。
(図4)は、総人口の構成要素のうち生産年齢人口の構成比を縦軸にとったグラフです。

老年化指標に関する4つのグラフ
老年化指標を横軸にして、4つの指標を縦軸にしたグラフです

人口に関するデータは、過去から将来予測までの日本の200年間トレンドです。中間点がほぼ現時点のポジションです。尚、現時点で老年化指数が200を超えている国はなく、現在の世界人口の老年化指数は41であることを覚えておいてください。一方、日本の老年化指数は、前述したように262ですが、現時点で全国の都市の中で最も老年化指数が高い市は、北海道歌志内市1123です。最も指数が少ない愛知県長久手市102です。

この4つのグラフに示される指標の要素を見てみます。指数を構成する要素を、下記の記号で置き換えてその関係構造とあわせてみましょう。
A:年少人口(0~14歳の人口)
B:生産年齢人口(15~64歳の人口)
C:老年人口(65歳以上の人口)
D:総人口

図1、老年人口指数(=C/B×100)と老年化指数(=C/A×100)の関係グラフ

このグラフは、横軸も縦軸も老年人口が増えればそれぞれ増加する「正の相関」となります。
グラフからは、それぞれの絶対値以外は、その増加速度の変化のみが読み取れるグラフといえるでしょう。

図2、年少人口指数(=A/B×100)と老年化指数(=C/A×100)の関係グラフ

このグラフは、年少人口の変化がよくわかるグラフです。グラフでは、老年化指数が100(年少人口=老年人口)に近づくまで年少人口指数が急減しているのが読み取れます。

図3、従属人口指数(=(A+C)/B×100)と老年化指数(=C/A×100)の関係グラフ

このグラフは、従属人口の増加にあわせて、従属人口指数が低下しています。このグラフも図2と同じように老年化指数が100を超えたあとに、今度は反転して従属人口指数と老年化指数が「正の相関」となっています。
但し、このグラフで少しわかりにくいのは、従属人口(=A+C)という概念でしょう。生産年齢人口(=B)以外の人口で、もともとは生産年齢人口に従属している人口の定義ですが、いまでは「それ以外」という人口区分はわかりにくい定義といえるでしょう。

図4、生産年齢人口比率(=B/D)と老年化指数(=C/A×100)の関係グラフ

このグラフは、(図3)の縦軸が逆転したグラフように見えるグラフです。
従属人口指数でなく、生産年齢人口比率を使用しているため、経時的に生産年齢人口がどう変化しているかがわかりやすいグラフです。
老年化指数が50以下は、老年者に比べて年少者が2倍以上いる社会であり、若い社会といえるでしょう。この50以下では、生産年齢人口が急増しているのがわかります。
このグラフの頂点は、生産年齢人口がピークである時期を示しています。生産年齢人口が減少し、総人口内の構成比が低下するとともに老年化指数が増加していきます。
このグラフでは、その社会の生産の担い手となる人口の推移、老齢化社会を示す老年者と年少者の比率が示され、高齢化社会のどのポジションにいるかがわかるグラフといえるでしょう。

(図1)から(図4)のうち、変数A、B、C、Dの4つの要素を含んでいる図は、(図4)のみです。その意味でも、この図4のグラフは、高齢化社会を判断する一つの有力なグラフといえます。

高齢化社会への推移がわかる生産年齢人口比率との関係グラフ

前項の(図4)のグラフから、何がよみとれるかを、次のグラフで説明しましょう。

老年化指数と生産年齢人口比率の関係グラフ
老年化指数推移グラフから知る6つのポイントです

〈Point1〉横軸は、老年化指数です。繰り返しになりますが、右に行くほどその社会の老年者の構成が多い、すなわち高齢化が進んだ社会となります。

〈Point2〉縦軸は、生産年齢人口比率の多少です。老齢化が進んでも、働き手の生産人口がその社会で多ければ、成長が期待できるでしょう。老年化指数が高く、生産年齢人口比率が低ければ、その社会で徴収する税が少なくなり、市町村単位では衰退する街となるでしょう。

〈Point3〉現時点の老年化指数と生産年齢人口比率を示しています。このグラフに、例えばある街の現在の老年化指数と生産年齢人口比率をプロットすれば、その点はこの日本200年トレンドのどの時代にポジションされているかが想定できるでしょう。

〈Point4〉その社会のトレンドをグラフにして、トレンドに頂点が現れれば、その社会の生産年齢人口比率がピークの時期であり、その社会の活動の最盛期といっていいかもしれません。

〈Point5〉このグラフでの、過去から現在までのトレンドです。

〈Point6〉このグラフでは、今から未来のトレンドです。これから向かう社会の人口構造を想定することができるでしょう。

その国は〈若い社会〉か〈老いた社会〉に向かっているのか?社会の成長フェーズを知る老年化指数トレンドグラフ

現在の世界の老年化指数は41です。先のグラフは日本の現時点がグラフの中心にくるグラフですが、世界を基準とするには、横軸に加工が必要でしょう。

このグラフでは、老年化指数が小さく、生産年齢人口比率が低い国ほど若い国(もしくは発展途上国)といえます。
このグラフを見ると、日本がいかに世界の中で高齢化が進んでいるかがわかるでしょう。

日本の老年化指数推移グラフ
日本の老年化指数推移に、2024年時点の世界と日本のポジションを示しています。

世界の国について、その国が〈若い社会〉であるのか、〈老いた社会〉に向かっているのか。
それを見るのは、この日本の老年化指数トレンドグラフの上にプロットしてみるといいでしょう。
そのプロットを見ることで、必ずその点は、日本に住む私たちが経験してきた過去の年代プロットの近傍にみることができます。
そのプロットについて、私たちはその社会の人口構成を想像できるでしょう。なぜならば、2024年現在の日本のプロットよりも右、すなわち日本の将来の領域に打たれるプロットは存在しないからです。

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データの出典・データの利用と加工
〈出典1〉総務省統計局〉令和2年国勢調査・調査の結果 サイトURL https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/kekka.html  
〈出典2〉国立社会保障・人口問題研究所〉将来推計人口・世帯数/日本の将来推計人口(全国)〉/令和5年推計報告書・詳細結果表〉推計結果(総人口)/1出生中位(死亡中位)推計〉サイトURL
日本の将来推計人口(令和5年推計)|国立社会保障・人口問題研究所 (ipss.go.jp)
〈データの利用と加工〉人口動向ラボが2024年7月8日に利用し加工しています。

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